柊の殺気が弱まった事を確認したHYDは屋台に向かう。
 其のまま暖簾を掻き分け椅子に座ってしまった。

 「良いのかい、柊?」

 「ああ・・・、恐らく本当にこいつらは手を出す気は無え。」

 「そう、気には忠実な男で助かるって意味さあね。
  とりあえずアシロ教授と青年の飲んでるやつをくれって意味さあね。」

 「あ、ああ・・・。」

 零子は言われるがままに酒を出した。

 「ウマいなあ、イいサケだ。」

 「全くだなKILLって意味さあね。
  此れは隠れた名店を見つけたかなって意味さあね?」

 「有難う・・・。
  『ジキルとハイド』・・・初めて見た・・・・・・、意外と美形・・・。」

 「あ、姐貴・・・。
  相手は殺し屋だぞ・・・。」

 禿げ上がった頭に筋骨隆々なTHE-KILLはともかく、
 橙金色の髪を真ん中分けにし右目には縦一文字の傷が、
 白のシャツに黒の上下スーツで決めたHYDは確かに美形では有る。

 「有難うって意味さあね。
  素直に嬉しいって意味さあね。
  あと青年俺っち達は殺し屋じゃなく何でも屋さあね。
  依頼を受ければ赤子の世話から殺しまで何でもやるって意味さあね。」

 「悪い方面でより性質が悪くなっただけだ、変わらねえよ。」

 「確かにそうだ、良く分かってるって意味さあね。
  ・・・・・・・・・さて、仕事が有るんでもう失礼するって意味さあね。」

 「あ、あの・・・・・・多いんだけど勘定。」

 「気に入ったんで良いって意味さあね。
  後はアシロ教授への侘びだって意味さあね。
  三杯ぐらいなら其れで奢れるって意味さあね。
  此れ名刺だって意味さあね。
  何か依頼が有れば連絡すると良いって意味さあね。」

 「「ど、どうも。」」