「相変わらず良い酒だ。」
「だね、無害なのに。」
「分かったから柊はこっち飲みなよ・・・。
せっかく用意したのに今日で無くなっちゃう。」
「美味いものを飲むのが普通だろう?」
「そりゃそう言われると嬉しいけどさ・・・。
あの外道娘が何て言うか・・・。」
「諦めるんだな、あの外道振りは異常だ。」
「外道娘って?」
アシロが聞く。
「ああ、俺の友人でな。
女なんだがそいつがまた外道で――――――
言い終わらぬ内に柊が立ち上がった。
「柊・・・?」
「君、如何した?」
「・・・・・・・・・座ってろ。」
柊は暖簾を急ぎ上げた。
「おお、気付いたのかって意味さあね。
勘も気読みも良いなって意味さあね。」
「何をしに来た・・・・・・『ジキルとハイド』!」
零子がびくっと体を震わせた。
『ジキルとハイド』といえばそれ程やばい名だ。
「ちょっと私用だって意味さあね。
動き辛いんで其の殺気を納めろよって意味さあね。」
「そうはいかねえ、
目的は目撃者の俺とこいつ・・・・・・教授の抹殺か?
だったらわざわざ殺されてやるわけにはいかねえな。」
「やれやれ、喧嘩っ早い男は此れだから困るって意味さあね。」
「何・・・?」
「もう数日経ってるって意味さあね。
もし本気で殺す気なら即行くって意味さあね。
数日経ってメディアに載らないって事は通報する気も無いんだろうって意味さあね?
だったらこっちも興味無いって意味さあね。
既に仕事は問題無く済んでいるって意味さあね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」