「無害たあ随分と面倒な事したな。」

 「あ〜、まあね。
  柊のダチの・・・・・・機関達だっけ?
  あいつら普通に酒飲むからね高校生の癖に。
  無害は高いし、しゃーなく家で醸造してみた。」

 「ご苦労なこって。」

 「ん、あんがとさん。」

 暫く無言の時間が続く。
 柊はこの静寂が好きな事を零子は知っているのだ。

 「・・・・・・用は何だ?」

 「用って?」

 「惚けるなよ、姐貴が俺をわざわざ呼び出すって事は
  何かしらの私事を押し付ける時って決まってるからな。」

 「何と、人聞きの悪い。
  うちは只あんたと飲みたいと思って・・・。」

 「そういう時はちゃんとそう言うだろ姐貴は。」

 「ぶぅ・・・、すっかり可愛くなくなっちゃって・・・。」

 「結構、可愛いなんて俺には似合わねえからな。」

 「まあ本当に今日は私事じゃないんだ。
  せっかくうちの心友が近くに来たんで会ってみたらと思ってね。」

 猪口を置き柊は片眉を上げた。

 「姐貴の心友?
  友人なんていたのか、知らなかったぜ。」

 「まあ数少ない友さ、うちも十数年会って無いからね。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



 やがて月も夜に輝く真夜中。
 変わらず無言の空間に二人。

 「待ち人来たらず・・・・・・どころか客も来ねえな。」

 「屋台なのにね、でもそれが良いんだよ。
  五月蝿いのは苦手だからね。
  それに生活費は柊が私事で稼いでくれるし♪」

 「当てにすんな、俺は学生だ。」