D・Jは置いてあったバッグからキンキンに冷えた清涼飲料を二本取り出した。

 「はい、雷ちゃん。」

 「ああ、ありがと。」

 礼を言いながら雷太はぎょっとした。
 ロボットなはずのD・Jが、横で普通に清涼飲料を飲んでいる。

 「・・・・・・?・・・どしたの?」

 「・・・いや、D・Jって飲み物飲めたんだ・・・・・・?
  ロボットだからそういう飲食は出来ないって思ってたけど。」

 「ああ、なるほど。
  俺は普通に飲食は出来るよ?
  ただし、する必要は無いんだけどね。」

 「必要が無い?」

 「俺は『永久無尽蔵式自己製造エネルギー型』だから、
  食べ物を食べなくても自分でエネルギーを作り出せるんだ。
  そして食べた物も、中で完全に消化されて、外に出ずにエネルギーになる。
  まあ一応味覚はあるんで、大抵は精神的な衝動かな?」

 「?」

 「『仕事の合間に一息』とか、
  『お風呂上りに一杯』とかの事さ。」

 「なるほど!」

 雷太は清涼飲料缶のプルトップを引いた。

 聞きなれた涼しげな音が静かに響く。

 渇いた喉を潤す、少々刺激的な炭酸が心地良い。

 「ちょっと待ってて・・・・・・。」

 そういうとD・Jは例のバッグから何かを取り出した。
 どうやら本のようで、かなり分厚い。

 「はい、これ。」

 「ん?何これ・・・・・・?
  ・・・・・・・・・・・・げっ!?」

 その本には1ページに1つずつ、様々な有名人のサインが書かれていた。