「待て。」

 今までしゃべらなかった屈強そうな男が声を上げた。

 「皆もう勝ったような顔をしているが、
  こいつらはそんなに強いのか?
  少なくとも皆戦った事はないはずだ。
  強いという噂だけのやつなんぞ俺は信用出来ねえ。」

 確かに・・・。と何人かがうなずく。

 「確かにそうだな・・・。」

 ファントムが口を開いた。
 余りしゃべらないが無口というわけでもないらしい。

 「それならば・・・・・・勝負するか?剣神族。」

 「いいだろう。
  俺も腕には自信がある、誇り高き剣神族の一人だ。」

 剣神族とは約2000年前にはいた魔族なのであろう。

 二人は10m程離れた位置に向かい合った。

 「どちらかが倒れるか参ったと言わせたら勝負ありだ。」

 「・・・・・・構わない・・・。
  ・・・・・・・・・合図は?」

 「いつでもいいぜ?かかってきな。」

 そういう剣神族の男は剣を振りかざしやる気満々だ。

 「・・・・・・一つ聞いて良いか?」

 「何だ?いいぞ?」

 「御前のその鎧は大事なものか?」

 剣神族の男は薄いが頑丈そうな鎧を着けている。

 「大事といえば大事だな。
  剣神族に伝わる製法で精製した鎧。
  如何なる刀剣でも斬る事はおろか傷をつける事すら敵わねえ!」

 確かに頑丈そうな鎧だ。

 「それは・・・、悪い事をしたな。」

 「あ?・・・・・・なっ・・・!!!?」

 いつの間にか鎧が一文字に斬られている。
 左右は繋がっているようだが、どうやら彼の薄皮一枚まで斬られているようだ。