「炎魔法『ヤイバ』!」

 雷太の手から炎の塊が飛び出した。
 人を気絶させるにはちょうど良い大きさだ。
 こちらから攻撃すれば一瞬は怯むに違いない。

 「・・・・・・・・・!?
  ・・・・・・あ、あれ・・・?」

 勢いよく飛んでいったヤイバであったが、
 その人々に当たっても無反応どころか当たった感じすらしない。

 「・・・・・・すり・・・ぬけた?」

 よく見ると明後日の方向にヤイバは飛んでいっている。
 どうみても当たっていたのだが、当たらずすりぬけたらしい。

 その間も彼らはみるみる迫ってくる。

 「あ〜、ちくしょうわけわかんねえ!
  じゃあとりあえず防御だ!
  防御魔法『魔力鋼壁(フォース・シールド(force shield))』!!」

 雷太の目の前に、厚い壁が現れた。
 魔力で作った壁だ。
 空中に浮いており透明だが、光の屈折で分かる。

 雷太は身構えた。
 いつ攻撃してきてもこれで防げるはずだ・・・。

 ・・・・・・・・・・・・が、

 「・・・・・・・・・え・・・!??」

 人々は雷太をすりぬけ、通り抜けていく。

 魔法の壁や自分の体を次々とすりぬけて・・・。

 どうやら人々は城に向かっているようだ。

 雷太は城に向かう人々を見据え、
 その場に呆然と立ち尽くしている。

 「なんだあ・・・?・・・こりゃあ・・・。」



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