同時刻・・・雷太が夢でうなっている頃、
 一階からは既に良い匂いが漂ってきている。

 誰かが料理をしているようだ。

 その誰かが二階に上がって来、うなされてる雷太の前に立つ。

 「ら〜いたさ〜ん、あ〜さで〜すよ〜?」

 しかし雷太は全く起きる気配なくうんうんうなっている。

 「ありゃりゃ?おきないなあ・・・。
  どうしよう〜、こまったわねぇ〜。
  ・・・・・・う〜ん・・・あ、そうだ〜。『あれ』つかお〜♪」

 そう言ってその誰かは一階に降りていき、少し経って戻ってきた。

 右手に何かを持っている。

 片面に『快』、もう片面に『起』と書かれたピコピコハンマーだ。

 その誰かは『起』と書かれた面で雷太をピコッ☆と叩いた。

 「・・・・・・ぎゃあああああああ!!
  ・・・・・・・・・ん?あれ?」

 「おはようございます〜、らいたさん♪」

 「・・・ん?あ、お早う時雨ちゃん。
  ・・・・・・しっかし良かったあ〜!目が覚めて!」

 「ずいぶんとうなされていましたよ〜?
  こわ〜いゆめでもみましたか〜?」

 「う、うん・・・。
  (・・・あんな夢を見たのもきっと『三日間図書館缶詰』のせいだ・・・・・・。
   ・・・・・・あれは今思い出しても本当に地獄だったからなあ・・・。)
  ・・・いやでもマジで起こしてくれてありがとう。
  ・・・・・・・・・ん?・・・何それ?」

 雷太は時雨が持っているピコピコハンマーを指差した。