遥か上空、厚い雲の上を巨大な飛行船が一機飛んでいる。

 その中の一室で誰かが話しをしているようだ。

 「・・・・・・と、まあ以上が貴方に頼みたい事の全容です。
  御分かり頂けましたか?」

 白に統一された部屋。
 細長いテーブルに向かい会い座る二人。

 一方は黒き甲冑を纏い、黒銀の剣を背に差した騎士。

 もう一方は白き服にマント、非常に高いシルクハットを被った紳士。

 「このリストに載っている奴等を確認してくれば良いんだな?」

 黒騎士が聞いた。

 「ええ、そうです。」

 白い紳士が肯定する。

 「確認するだけで良いのか?」

 「ええ、その存在を確認するだけで結構です。
  ただし、確認後は私は一切関与致しません。
  素通りするも良し、会って話をするも良し、
  もし御望みなら戦って・・・・・・・・・殺されても。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 甲冑により顔が見えないものの、黒騎士は笑っているようだ。

 「しかし多いな・・・・・・。
  行くのは俺一人で良いのか?」

 「いえ、今回は『ヴェルサス』さんと一緒に行って頂きます。」

 「・・・・・・何故だ?」

 「御二人は仲が良ろしいのでしょう?」

 「・・・・・・まあな。」

 「もし嫌なら・・・・・・フフフ、
  『ケフェウス』とでも一緒に行きますか?」

 白い紳士は紅茶を飲みながら行った。

 「・・・・・・・・・いや、ヴェルサスと行こう。」

 「そうですか?
  ケフェウスと行くのも面白いですがねえ。」

 「ふんっ。
  ・・・・・・・・・じゃあ俺はもう行くぞ。」

 バナナミルクセーキを豪快に飲み干した黒騎士が席を立った。