「お前・・・・・・・・・今日から三日間図書室監禁な・・・。」
「え、・・・え――――!!?なぜに!?」
「一般常識を知らなすぎる。
・・・・・・・・・何なら波切の家の本でも良いぞ?」
「・・・・・・論語や漢文等しか有りませんが、面白いと思いますよ?」
波切が言った。
こいつの家の本にカタカナなんか絶対出てこない。
「い、いや・・・・・・クロの家の本で良いです・・・。」
「沿うですか?」
「まあ今日からだ・・・・・・良いな?」
「はい・・・。(・・・・・・こ、怖えええええ!!!)」
「一応説明はしてやる。
幽体ってのは意識は存在しているが、
死んでいる故に脳の働きが殆どストップしているんだ。
故に新しい知識が入ってくると昔の知識を『心太式』に忘れていく。
幽体の時が長ければ長いほど昔の知識を忘れてるんだ。
・・・・・・・・・・・・もちろん、自分の事でさえな。」
「へぇ〜、じゃあさっきクロが言ったとおり、
レインさんは幽体の期間が長いんだな・・・・・・。」
「とはいえ、本当に何も覚えてないのか?
俺も流石にここまで長い幽体を見るのは御前が初めてなんだが・・・。」
「はい・・・・・・・・・。
あ、でも自分が幽体になった理由は覚えています。」
「ほう・・・・・・聞いて良いか?」
「・・・・・・・・・はい。」
レインは胸の前で両手を祈るように合わせ握り、
目を閉じ、静かにかつ哀しそうに言った。
「私には生きていた頃、大切な男性がいました。
私は彼を愛し、彼も同じぐらい私を愛してくれました。
しかし、話したとおり私は20歳で死んでしまったのです。
しかも彼はある理由により封印されてしまいました・・・・・・。
ただ、彼は言いました、私の亡骸に向かって。」
『俺は必ずいつか蘇る。
そして御前を何としてでも生き返らせる。
だから、それまで待っててくれ。・・・・・・愛してるよ。』
「・・・・・・・・・・・・・・・と。」
クロの眉が誰にも気付かれることなくぴくっと動いた。