「とりあえずそういう事だよ早苗。
　　雷坊に適当なアドバイスでも言ってやっとくれ。
　　・・・・・・単純だから『頑張れ』とか言えばもう元気になるかもしれないけどね。」

　「誰が単純だ誰が。」

　「とりあえず、他組織の幹部に勝てなかったのね？」

　早苗はまっすぐ雷太を見据えて聞く。

　「お、おう・・・。」

　雷太も負けじと顔をそらさない。
　人と話す時は相手の目を見るべきだ。
　それは相手が人でないときも然り。

　「当然、貴方の組織は『レイン・ルーラー』を目指してる。
　　それなのに、副隊長の貴方が敵組織の幹部に勝てなかった。
　　だから、先を見据え不安になった・・・・・・ってとこかしら？」

　「・・・・・・・・・・・・そうだ。
　　『レイン・ルーラー』・・・世界の統括者を狙うに当たって、
　　戦いには絶対に勝たなくちゃならないんだ。
　　敵に脅かされる王なんて人は認めないだろ？
　　だから・・・・・・、このままじゃあ駄目なんだ・・・。」

　「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

　「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

　静かな空間にアズキがミルクをなめる音だけが響く。

　「私は組織所属者じゃないから
　　貴方の心深くまでは分からないけれど・・・・・・。」

　早苗が静かに口を開いた。

　「そこまで気負う必要も無いんじゃないかしら・・・？」

　「・・・・・・でも・・・・・・・・・。」

　「クロさんがたまに来てくれるって言ったでしょ？
　　・・・・・・一度クロさんに聞いてみた事があるのよ・・・？」

　「クロに・・・？・・・何を？」