「・・・・・・亀人・・・?」

 「ええ、そうよ。・・・初めまして、龍 雷太君。」

 「あ、初めまして。」

 雷太も初めて見た。
 亀人はその通り、亀の顔と体に人の四肢がある魔族だ。
 結構珍しい種族で、彼女のように外に出ていない亀人達は、
 世界のどこかでひっそりと暮らしているらしい。

 また彼女はワニガメ系の亀人らしく、
 その顔はワニガメそのものである。

 ただし、その声は大人の女性のものだ。
 本などで見聞きして知っていたとはいえ、雷太は違和感を覚えた。

 「邪魔するよ早苗、構わないかい?」

 アズキが早苗と呼ばれた亀人の彼女に聞いた。
 ちなみに現在時間が時間な為か客はちょうどいない。

 「ええもちろん、貴方もどうぞ?」

 「お、おう・・・。」

 アズキと雷太はカウンターの席に座った。

 二人は改めて向き合う。

 「初めまして、私の名前は『近藤 早苗』。
  見ての通り人間ではなく、亀人のワニガメ系よ。
  ここでひっそりと酒場を経営しているの。宜しくね。」

 「初めまして、俺の名は龍 雷太。
  ブラックメンの組織所属者だ。宜しく。」

 と、いっても早苗は雷太の事は知っていたようだが。
 流石にエクセスとなると雷太の知名度は抜群である。

 《小猿の癖に・・・・・・。》