新太郎は斬撃の衝撃で吹っ飛んだ。
なんとか膝を突き起き上がるも、胸に服を裂いて大きな斬り傷が血を吹いている。
「ちっ・・・・・・。」
「あなたは言いましたね?
『刀は一閃で誇りと命のやり取りをしている』・・・と。
仰るとおり僕は素人ですが、それでも分かります。
刀は一撃当てればそれだけで非常に有利・・・・・・。
この勝負、僕があなたを殺して勝ちです。」
新太郎の傷は多少深い。
肩で息をしながら新太郎は立ち上がった。
「・・・・・・俺はまだここで死ぬわけにはいかねーんだ・・・。
悪いが・・・・・・・・・『あれ』を使う・・・!」
「隠しだまですか・・・・・・面白いですね・・・。」
新太郎は静かに構え地を蹴った。
その右拳は固く握られている。
「何かと思えば変わらぬ徒手空拳ですか・・・・・・・・・。
いいでしょう・・・受けてたちましょう・・・・・・。
・・・・・・・・・最硬化!!」
顔の前で腕を交差させた状態で、センの体が真白に変色していく。
骨の主成分は燐酸カルシウム。
カルシウムは本来柔らかいとは言え金属である。
カルシウムの語源は『石、砂利』であるが、
センの意思により完全集結硬質化した今、
彼は確実に鉄鋼よりも硬いに違いない・・・・・・。
センはどっしりと構え新太郎を迎え撃つ。
拳を弾いた瞬間に首をはねるつもりだ。
新太郎は拳を引いた。
「焔拳・・・・・・閃(ひらめき)!!」
「!!?」
ドゴォン・・・!!
センは思いっきり吹っ飛んだ。
拳に砕かれた腕の欠片が辺りに散る。