「・・・え?秋雨さん?・・・・・・王子???」

 皆の不思議そうな顔を無視して、姫子は秋雨に話す。

 「うむ、我が椅子を持って参れ。
  加えて何かしら持って参れ。これから宴会なのでな。」

 「畏まりました。」

 膝をついたまま深く礼をし、彼は去って行った。

 雷太、リーネ、ミルフィは顔を見合わせる。

 「え?あの二人どんな関係なんだ!?
  ・・・・・・・・・ってか王子・・・???」

 「さ、さあ・・・・・・。」

 「知らないわ・・・。謎ね・・・・・・。」



 彼の名は『横大路 秋雨』。
 大衆酒場兼小料理屋『秋雨』の店長である。
 29歳の銀髪の男で、特に女性に人気がある。
 特に女性との噂はないが、姫子との関係は不明である。



 やがて、煌びやかな椅子とまだ頼んでいないはずの料理が運ばれて来た。
 それも、かなりの高級に分類されるものばかりだ。
 しかも止めることなく次々と運ばれ、テーブルが料理に埋め尽くされた。

 「これ・・・・・・大丈夫なのかしら?」

 流石にリーネが疑問を発した。

 「どうした?毒が入っているとでも思っているのか?」

 そういう姫子は既に食べ始めている。

 「そうじゃなくて・・・・・・、流石に豪華すぎないかしら?」

 そう言われて姫子は不思議そうな顔をした。
 どうやら彼女の食事はこれが普通らしい。

 《一体どんな生活してるんだよ・・・・・・。
  本当の姫じゃないって事は・・・・・・え!?下僕から!?》

 「・・・・・・IFPはこのような食事かと思っていたが・・・。
  まあ、存分に食べると良い。我が下僕の奢りであるぞ。」

 「ま、まあせっかくだから食うか。
  出してもらって食べないのも悪いしな。」

 「・・・・・・・・・そうですね。」

 「是。」

 「いただきま〜っす!」

 やがて懇親会が始まった。

 その懇親会は深夜まで続き、やがて自然に解散した。



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