正に蛇に睨まれた蛙。
 へたり込んで失禁する者も多く出る。

 例の拡声器の上官も気圧されている。

 「・・・何をしている・・・?」

 と、上官の後ろから声が聞こえた。
 上官は振り向く。

 「た、大佐っ!」

 連絡を受け、会議を蹴ってここへ来たらしい。

 IFP陸軍部大佐『レディン・パラフィス』。

 レディンは氷鬼を静かに睨んだ。

 「ほう?『不死身公』じゃねーか。
  わざわざ殺されに来たのか?」

 氷鬼ティノスは挑発の言葉をかける。

 「・・・・・・撃て。」

 レディンが静かに言った。

 上官(一等兵)が慌てて聞き返す。

 「・・・え?・・・・・・!?」

 「何を躊躇している!?撃てっ!
  銃撃部隊と魔法部隊一斉射撃だ!!」

 「は、はいっ!!」

 レディンの命令で氷鬼に一斉に射撃、魔法が浴びせられる。

 恐ろしいほどの銃撃量。恐ろしいほどの魔法の量。
 炎魔法、雷魔法、水魔法、光魔法、闇魔法。

 滅茶苦茶に攻撃が入る。
 抜刀部隊も一斉に構えるが、突撃は流石にしない。



 やがて次第に銃撃、魔法の嵐はやんでいく。

 上官(一等兵)やレディンが命令したわけではないが、
 流石に弾にも魔力にも限界があるからだ。

 しかし、これだけの量の一斉射撃。
 常識では100%生きていない。
 むしろ常人がこれを見るとIFPを非難するであろう。

 最早雪原とは言えない。ただの焼け野原だ。
 煙がもうもうと吹き上がり、氷鬼の姿は見えない。



 やがて煙は晴れていく。

 「馬鹿な・・・・・・・・・!」

 そこに立つは氷鬼。
 薄青髪に氷の般若面。
 傷などは・・・・・・一つも無い。