そして雷太は、図書室No.1の扉を開いた。

 「うわ・・・・・・・・・、相変わらずすげえ・・・。」

 驚きのあまり声が出た。

 目の前に広がるは高い天井まである本棚と、それに詰められた本だ。

 前にかなりの量が『エクセス街立図書館』に寄贈されたそうだが、
 それでも余りにも数が多い。
 下手したら一生掛けても読むのは不可能かもしれない・・・とさえ思える。

 「・・・ん?」

 雷太は目を凝らした。
 図書室のテーブルの一つに、誰かが座っている。

 「・・・・・・健さん・・・?」

 確かに、顔立ちはあの『暁 健』のようだ。
 ・・・・・・・・・ただ・・・。

 「・・・髪が・・・・・・黒い・・・?」

 遠くで良く分からないが、髪が黒く見える。
 健は金髪のはずだ。
 ちなみに、この世界に髪を染める習慣は特に無い。

 「まあ、良いや。本に熱中してるみたいだから、
  こっそり近付いて驚かしてやろう!」

 雷太はこっそりしのび足で歩き出した。

 ・・・と、進む途中でなにやら妙な音がした。



 トタトタトタトタ・・・・・・



 「・・・ん?」

 雷太は足を止める。
 しかし、もう聞こえない。

 不思議に思いながらも、再び雷太は歩き出す。



 トタトタトタトタ・・・・・・



 「・・・・・・近い?」

 と雷太が再び足を止めた途端、
 本棚の影から何かが飛び出してきた。

 そのまま雷太の膝にぶつかる。

 「きゃんっ☆」

 ぶつかった者は一声あげるとしりもちをついた。

 よく見ると小さな女の子だ。

 「・・・・・・・・・いたた・・・。」

 「あ・・・ご、ごめん。大丈夫?
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰?」

 謝ると同時に雷太から正直な疑問が出た。

 小さな女の子はしばらくぽけ〜っと雷太を見ていたが、
 突然思い出したように顔を輝かせた。

 「あ―――っ!あなた雷太ちゃんね?☆」

 雷太は少しびっくりする。

 「え・・・・・・?・・・・・・・・・・・・・・・誰?」



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