「ん〜・・・・・・?やっぱり何も見えないんですけど・・・。」

 「じゃあ、これ使ってみて。」

 デュークは、白衣のポケットから双眼鏡を取り出し雷太に手渡した。

 「へえ〜、双眼鏡ですか。
  ・・・うわっ!かなり倍率高いですね。」

 そう言って、雷太はデュークが指差した方向を双眼鏡で見た。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」

 雷太は目を凝らした。

 「向こうの壁に・・・啓太君が立ってる・・・!?」

 啓太は頭の上に小さな点が描いてある林檎を乗せ、壁に寄りかかって本を読んでいる。

 「もしかして、あの林檎が的っすか!?」

 「うん♪」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  いや・・・、普通に無理っしょ、あんなの・・・。」

 とんでもない距離だ。下手すると町がすっぽりと入るかもしれない。

 《・・・・・・なんちゅう家だよ・・・。》

 「だいじょう〜ブイッ☆まあ、見ててよ。」

 そう言うとデュークは目を閉じ、両腕を下げた。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 いつものデュークとは違う。空気が一瞬で張り詰めた。
 流石に、クロの友人とありやはり只者ではないらしい。



 デュークはかっと目を開け、両腕を目の前に上げた。
 一瞬で両腕の白衣の袖下から銃が飛び出てくる。
 それを素早く握り、引き金を引く。



 ドドドドドドドドッ



 文字では分かりにくいかもしれないが、物凄い連射だ。
 初めて見る雷太は、ぽか〜んとデュークを見ている。

 「・・・・・・よしっ。命中!」

 と言ってデュークはVサインをした。
 ちなみに銃は白衣の中に自動的に収納される。