第44話 “三発の銃弾”


 雷太はクロの家に向かい走っている。

 その途中で妙な男とすれ違った。

 全身黒尽くめで、『半サングラス』を左目に掛けた男だ。
 ゆっくりと道を歩いている。

 雷太は最初、

 「・・・・・・・・・・・・。
  (めずらしい格好だな・・・・・・。)」

 と思ったが、すぐに忘れてしまった。

 ・・・・・・その男が振り返り、じっと雷太の後姿を見ていたことも知らずに・・・・・・・・・。



 やがてクロの家に付いた雷太は、相変わらず開け放たれている門を通り庭に入った。

 と、雷太は左手の塀際にデュークが立っているのを見つけた。
 目を瞑り、両腕を自然体に下げている。

 気になった雷太は、デュークに近づいていった。

 「デュークさん、なにしてるんですか?」

 デュークはパッと目を開けた。

 「・・・ん〜?・・・あ、こんちゃ!雷ぷ〜。
  え〜っとね、今射撃の練習をしていたんだよ〜。」

 「・・・?射撃の練習って・・・・・・。
  あの的を撃つやつですか?」

 「うん♪」

 雷太は周りを見回した。

 「・・・・・・でも、的なんてどこにも・・・・・・。」

 見当たらない。
 想像の的だろうか?

 「あるよ。あ〜〜〜〜っちの方に。」

 そう言うとデュークは、何もない方を指差した。