しばらくして、氷雨はクロの家へと続く道を歩いていた。

 「はあ〜、突然飛び出したこと・・・・・・雷太さん変に思ってないかしら・・・?
  ・・・・・・・・・でも、時雨があんなこというんだもんな〜・・・・・・。」

 時雨が言った事を思い出し、氷雨は再び頬を赤らめた。
 ・・・・・・・・・・・・が、すぐに首を振って、考えを消した。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  (大体そんな事考えている暇ないはずよ。
   お仕事もたくさんあるし、そ、それに・・・・・・・・・・・・、
   ら、雷太さんが私の事を好きかどうか分からないし・・・・・・。)」

 まったく、女人というものは『人に好かれる事』に関しては鈍感である。

 《恋に悩む女の子か〜、微笑ましいね〜♪》

 実際には、そんな生易しいものじゃあないのだが。

 「・・・でもなんで雷太さんを見ると、胸がこうドキドキしてくるんだろう・・・?
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり・・・、『アーク』に似ているせいかしら・・・・・・?」

 そんな事を一人つぶやきながら、氷雨は歩いて行く。



 ところ変わりここは再び雷太の家。

 「・・・・・・・・・ま、まあとにかく履歴書の続き読もっか・・・。」

 「は〜い。」

 時雨が明るく返事した。

 「・・・・・・・・・・・・。
  (・・・ふ〜ん・・・色々書いてるな・・・。
   ・・・・・・好きなものは・・・、彼氏!?)
  彼氏いるの?なんか『らぶらぶで〜すっ♪』って書いてるけど・・・。」

 ※実際の履歴書には『好きなもの』なんていう項目はありません。

 「はい〜〜〜〜。わたしのかれは〜なかなか〜あえないんですけど〜〜〜、
  と〜〜〜〜〜〜ってもかっこよくて〜〜、
  と〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ってもやさしいひとなんですぅ〜。
  きゃ〜、はずかし〜〜〜。」

 時雨は真っ赤になって手で顔を覆った。

 「そ、そう・・・・・・。
  で、履歴書読み終わったんだけど・・・?」

 「はい〜、なにかしつもんとかあったらどうぞ〜。」

 「ん〜、質問ねえ・・・。
  時雨ちゃんは炊事とか家事とか出来るんだよね?」

 「はい〜♪おねえちゃんとおなじことができますよ〜。」

 「ふ〜ん、なら問題ないか・・・。
  ってか、氷雨さんと時雨ちゃんって似過ぎじゃない・・・?
  いくら双子でも・・・ねえ・・・・・・。」

 「はい〜、よくいわれますぅ〜。
  でも、せいかくですぐわかるともいわれますよ〜?」

 「た、確かに・・・・・・。」

 雷太は少し考えた・・・。