「きゃ〜、ひろ〜〜いっ!」

 家に入った時雨が、正直な感想を言った。

 「そ、そうかな・・・?」

 「そうですよ。私も、一人暮らしの一軒家にしては、
  相当に広いほうだと思いますよ?」

 「そ、そうですか・・・。(氷雨さんに褒められると嬉しいな・・・。)」

 この反応から見て分かるとおり、雷太はまだ困惑しているようだ。

 やがて、雷太達は一階の部屋のテーブルに座った。
 飲み物にコーヒーを3つ置く。

 「とりあえず〜、『りれきしょ』もってきました〜。」

 「・・・そ、そう・・・。(あるんだ・・・。)」

 とりあえずは家政婦は真面目な職業。
 しかも、氷雨のように家事全てをやるとなると相当な労働である。

 《知り合いだからって容赦は駄目だって事だな。》

 「・・・・・・。(そ、そうだな・・・、真面目に見よう。)」

 雷太は履歴書を受け取った。

 《・・・写真じゃなくてプリクラが貼ってある・・・・・・。》

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  (名前は『時雨=シースフィールド』・・・。
   氷雨さんの本名って『氷雨=シースフィールド』だったのか・・・・・・。
   年は17歳・・・。双子だから同じだな・・・。誕生日は神無月十日余り四日・・・。)」

 ※この世界の年月は旧暦です。

 「あ・・・あの、雷太さん・・・。」

 氷雨が声を掛けた。

 「・・・!?はい!??・・・何ですか?」

 「何でさっきからこっちをちらちら見てるんですか・・・?
  受けるのはこの子なんですけど・・・・・・。」

 「(ギクッ!!!
  い、いえまさか・・・・・・そんな事はなななないですよ・・・!」

 《好きな人の事は出来る限り知りたい・・・・・・。
  男の性ってやつだな・・・・・・キモすぎる。》