二人は見つめ合っている。

 「・・・・・・。(・・・・・・かわいい・・・。)」

 「・・・・・・。(・・・・・・この人・・・。)」

 両の頬に紅が差す。



 ふいに世界に音が戻った。

 周りは何もなかったように、小鳥がさえずっている。

 「・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・!」

 彼女は、なにか突然気が付いたらしく、胸の前で両手の平をパンッと合わせた。

 「あっ!もしかして、龍 雷太さんですか?」

 「・・・!えっ!?・・・あ、・・・そ、そうだけど?」

 「やっぱり・・・・・・。はじめまして。私、ここで家政婦をやらせていただいている『氷雨』と申します。」

 「あ・・・はじめまして。(・・・・・・家政婦さん!?)」

 雷太は予想外の展開に驚いている。

 「・・・・・・家政婦って・・・メイドさんの事?」

 「はい。」

 氷雨は全く気にする様子もなく答え、更に続けた。

 「部屋でクロさんがお待ちです。どうぞお入り下さい。」