確かに、世界は始動した。
 殆どの組織が動き、約1000年続く『組織大戦』の再開となった。
 しかし、流石に停滞していた事が引きずっているのか、
 どの組織も目立った動きをまだしていない。
 今のところ一切事件も起きていないし、再開したことすら信じがたいほどである。

 故にサングラスをした雷太がメリーストリートを歩いても、

 「・・・・・・・・・。(あ、雷太さんだ。)」

 「・・・・・・・・・。(相変わらず馬鹿面してるな。)」

 「・・・・・・・・・。(あれ変装のつもりだろうか?)」

 《・・・・・・・・・帰れ小猿が!!》

 「・・・・・・・・・誰が小猿だ!?」

 「・・・・・・・・・。(暇そうだな・・・。)」

 全く持って人は騒がない。今までどおりだ。
 本当に世界が動いたのかさえ疑問に思えてくる。
 ただ、何処かが動けば変わるのかもしれないが。



 「・・・・・・・・・△1三と。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・早くうちなよ。」

 「そうせかすなよ婆さん。今日こそ勝てそうなんだから。」

 ここは路地裏。
 二人の者が地べたで将棋を指している。

 一人は着物を着、袴をはいた年配の男。
 もう一人は・・・・・・・・・?