ここはどこかの建物。
 外観から想像するに、IFPのものらしい。

 その中の一室に、二人の人物がいた。

 一人は赤髪で背が高く、目に濃い『くま』がある見るからにやる気のなさそうな大人の男。
 もう一人は、青髪で、背中にぴこぴこと小刻みに動く悪魔翼がついた少女。

 二人とも、そのやる気とは裏腹に軍服を着、
 ネクタイ、帽子、ブレザーまで旧上官制服を完備しているのだが・・・・・・。

 二人とも隣り合った大きさの違う机にあごを乗せ、椅子に座ったまま腕をだら〜っと下げている。

 「あ゙〜〜〜〜・・・っ・・・。」

 「・・・・・・たるっ・・・。」

 前者は男、後者は少女だ。

 どう見ても服装以外やる気がない。

 ちなみに、この部屋は特殊であり、
 あたりの壁や家具全てに、何故かこう書かれている。

 『防火すぅぱぁ(R−18)』

 そこへ兵の一人が歩いてやってきた。
 敬礼をし、部屋の中に入る。

 「失礼します、上からお手紙です。」

 男は手紙を受け取るが、だらけた姿勢は崩さない。

 「ああ・・・ご苦労。」

 「ごくろう〜・・・。」

 普通の人なら突っ込みそうだが、この兵は見慣れているらしい。

 「では、失礼しました。『秋葉中将』、『レーシィ中将』。」

 普通に敬礼をし、去っていった。
 部屋の扉を間違いなく閉めて。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 秋葉は手紙を読むにつれ、表情がこわばっていく。
 それに比例するように姿勢を上げ、今度は逆に椅子の背にもたれかかった。

 「・・・・・・・・・な〜・・・・・・に〜?」

 少女が聞いた。

 「・・・弟が・・・・・・やられたらしい。」

 少女は眉を上げた。

 「・・・大輔ちゃん?」

 「ああ・・・・・・・・・。」



 チリ・・・チリチリ・・・・・・



 ボオォォウウ!!!!



 男の体から、物凄い炎が噴き出した。
 部屋一面を炎はなめるどころか覆いつくす。

 この部屋が『防火すぅぱぁ(R−18)』でなければ一瞬で燃え尽きていた。
 弟の比ではない。

 「だめよ・・・だめ。・・・おこっちゃだめよ・・・。」

 少女が言った。

 あれだけの炎。少女にも火が。
 だが・・・・・・彼女には傷一つ付いていない。

 「ああ・・・大丈夫だ。
  よくもやってくれた、龍 雷太。俺の大事な弟を・・・。
  燃やしてやる・・・・・・、俺の『波動』の力で、燃やし尽くしてやる・・・。」

 「ん〜・・・・・・。」

 と、男はまるでスイッチを切ったように元の姿勢に戻った。

 「「・・・・・・・・・たるっ・・・。」」

 この二人は本当にやる気がない。