体が動かない・・・。

 神谷は右拳を深く引いた。

 魔法だ・・・なんでもいい!

 声が出ない・・・!?

 「終わりだ・・・。」

 神谷が言う。

 「三大奥義・・・『獅子面空砲・絶牙』!!」



 「うわぁぁぁああ!!」

 雷太はベッドから跳ね起きた。

 「はあ・・・はあ・・・・・・あれ?」

 ここはいつもの雷太の家の二階。
 いつものはちまき、いつもの寝巻き、いつもの快眠帽子。

 「・・・そうか・・・勝ったんだ・・・・・・。」

 生活に支障はないが、まだ完全には回復していない。
 雷太は自分の右腕を見つめた。

 ♪ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ♪

 「うおおっ!!?」

 雷太の携帯が突然なった。
 曲は当然、『CLAIM OF SOUL』だ。

 雷太は心の中で毒づきながら出た。

 「・・・はい?」

 『俺だ。』

 「く、クロ!!?」

 雷太は心臓が跳ね上がった。
 目の前で気絶し、家で目覚めて数日。まだ会っていない。
 本来なら家に行き謝罪するべきなのだろうが、ぶっちゃけていうと怖い。
 その相手が突然電話をかけてきた。驚きびびるのも無理は無い。

 『回復したか?』

 クロはいつもの調子で聞いた。

 「え?・・・・・・あ、うん。大体なら。」

 『なら今すぐ来い。緊急事態だ。』

 雷太の返事を聞く間もなく、電話は切られた。

 「・・・・・・・・・・・・。」

 行くしかない。
 雷太は心の中で毒づいた。