月が迫る。
 彼は静かに右手を前に構えた。

 そして叫ぶ。

 「高等炎魔法『貫通する大火炎(フェニックス・パネトレイト(phoenix penetrate))』!!!」

 一瞬のち、雷太の前に巨大な炎が現れた。
 その姿、正に・・・・・・・。

 「・・・・・・不死鳥・・・。」

 神谷がつぶやく、その神々しさに誰もが見惚れる。

 不死鳥は一度羽ばたくと、後月へ向かって突進した。

 一瞬後、後月はあっけなく崩れ消え去った。

 「馬鹿な・・・・・・一体どれだけの・・・!!」

 不死鳥の次の貫通先は・・・・・・神谷だ。

 一度鳴くと、不死鳥は神谷へ突進する。

 高速の炎塊が、神谷を包み貫通する。

 「う・・・おおおおおおおおおおおお!!!!!」



 ズドオォン!!!



 不死鳥は壁を数多貫通し、やがて消えた。

 神谷はいない。姿が見えない。

 「・・・俺の勝ち・・・・・・だな。」

 雷太は言い、はちまきを元に戻す。

 と、雷太はカクンとひざを突いた。

 「いっけね・・・・・・、流石に魔力使いすぎたか・・・。」

 雷太はシルヴァトゥースを地に突き刺し、なんとか立ち上がる。

 「・・・じゃあな!出て行かせてもらうぜ!!」

 二階以上の兵は、全て動かない。
 『鉄人:神谷』が負けた。
 そんな相手に自分達で敵う?冗談じゃあない。

 やがて、雷太は兵が動かないのを確認すると、走って基地を後にした。