「いいか、雷太。
  君には膨大な魔力が眠っている・・・・・・。」


 あの人が言う。


 「それは既に人外だ。絶対に開放するな。」


 俺はあの人を尊敬する。


 「『それ』さえしていれば、決して開放されることはない。」


 あの人は俺に魔導士の道を開いてくれた。


 「いずれ、また会おう。
  その時は、一対一で戦う時だ。」


 その人の名は『氷室 秋水』。
 俺にとっては、ジョー・ディヴィル以上の魔導士。
 俺は彼に追いつくために、強くなり続けなければならない。


 「・・・・・・・・・。
  (ごめん、秋水さん。
   でもやっぱり俺は、こんなところで負けてはいられないんだ!)」

 雷太は手を伸ばす。

 彼のはちまきは、外したことがない。
 第8話の時も外さずに締めなおしただけだ。



 その赤いはちまきを、手で少しだけずらす。