ここはIFP空軍部第5支部基地。

 神谷は静かに立っている。

 雷太が動く気配はない。

 「ら・・・・・・雷太さん・・・。」

 ヴィースはつぶやいた。

 動かない、いや動けないのか・・・。

 いくら信じろっていったってこれではもう・・・・・・。

 神谷は瓦礫を見つめている。

 「あと30秒・・・。
  動きが無ければ、救護隊を呼ぼう。
  ・・・・・・動けるとは思えないがな。」

 神谷はため息をついた。

 正直、期待していた。

 彼女、フロンディア・セレスティアルはこう言ったからだ。

 「たぶん、雷太さんはもっと強いわよ。
  きっと、びっくりすると思うわ。」

 それほどでもない。むしろお前の方が強かった。



 瓦礫の中、雷太は埋まり倒れている。

 「・・・・・・・・・。(あ〜・・・ちくしょうあの野郎・・・とどめに22発も入れやがった・・・・・・。)」

 雷太は足に力を入れる。
 全く動かない。

 「・・・・・・・・・。
  (・・・駄目か・・・・・・。
   ・・・・・・体もバッキバキ・・・いや、滅茶苦茶だな・・・・・・。)」

 雷太は手に力を入れる。
 今度は動いた。多少自由に動かせる。

 「・・・・・・・・・。(・・・お、・・・手は動くか・・・。)」

 雷太は手をゆっくりと動かす。

 「・・・・・・・・・。
  (・・・ごめん、クロ。
   ・・・・・・ごめん、秋水さん。・・・・・・俺、約束破るわ。)」

 雷太は静かに眼を閉じた。