「・・・・・・・・・30秒、それ以上。・・・・・・。出してやろう。」

 神谷は一歩歩み出た。

 ・・・バチ・・・・・・バチバチ・・・。

 神谷は歩みを止めた。

 「・・・・・・?何だ?・・・最後の悪あがきか?」



 ・・・・・・バチバチ・・・バリバリ・・・



 「・・・・・・!?・・・・・・これは!??」

 瓦礫から、蛍光黄緑色の光が漏れる。

 瓦礫が勢いよく吹き飛んだ。



 バリッ・・・バチバチッ・・・・・・



 そこに現れたは・・・蛍光黄緑の光に包まれた雷太。
 全身の傷が・・・・・・治りかかっている。

 「・・・・・・な・・・なんだそれは・・・?」

 神谷が聞く。

 「・・・魔力だ。」

 雷太は静かに答える。

 神谷は目と耳を疑った。

 「馬鹿な・・・!魔力だと!?
  魔力が体外に溢れ出るなど、聞いたことがないぞ!!」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「確かに『魔力魔法』という魔法は聞いたことがある。
  だが、魔力を魔力のままで出すことは余りに難しく危険で、
  殆どの者は、魔力をわずかでも体外に出すと死に至るはず――――――

 「それが!・・・・・・・・・俺にはできる。」

 神谷の言葉を遮り雷太は言った。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 神谷は黙った。
 あの神谷が圧倒されている。

 雷太は左手を真横に構えた。

 「炎魔法『ヤイバ』。」



 ゴォオゥッ!!!



 余りにも巨大な炎が、左の壁に余りにも巨大な穴を開けた。

 巨大すぎて、下手をしてあと1m上だったら、
 かなり離れているはずの2階吹き抜け廊下の兵達も焼き尽くしていたところだ。

 「俺のヤイバは特殊な魔法。
  他の魔法とは違い、込める魔力の量によって威力が違う。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「決着をつけようぜ、IFP空軍部大佐:神谷 新右衛門。」

 「・・・・・・・・・。」



 ズ・・・ズズズズ・・・



 神谷の背後に同じく巨大で水色の空気が渦巻く。

 「・・・・・・面白い。相手にとって不覚無し。
  行くぞ。“強大組織”『ブラックメン』副総長:龍 雷太。」

 一瞬訪れかけた静寂を許さず、二人は言い放つ。

 「・・・・・・・・・勝負だ・・・!」



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