「そうか・・・・・・、あいつは強くなっていたか・・・。」

 神谷は辛辣に返す。

 「ああ、お前よりもな。」

 「じゃあ、なおさらお前に勝たないとな。」

 とはいえ、雷太は回復したわけでもない。

 「その状態で何が出来る?
  ・・・・・・・・・!魔力か!??」

 「その通り!」

 秋葉の時と同じだ。
 出来るだけ相手にしゃべらせて時間を稼ぎ、魔力を構築し溜める。

 雷太は両手を重ねあわせ、前に構えた。

 「・・・!やらせるか!!」

 神谷は即行で空砲を発射した。
 流石の彼も、危険だと思ったらしい。

 「もう遅え!
  炎魔法『火火炎魔砲(ブレイブ・ハート(brave heart))!!』」

 雷太の両手から空砲とほぼ同じ形状の炎の塊が飛び出した。

 速度は空砲よりゆっくりだが、神谷の空砲を一瞬でかき消す。

 「なっ!!」

 神谷から初めて驚きの声が漏れた。

 炎砲はまっすぐ神谷に向かう。

 「いっっっけええええ!!!」

 雷太が叫ぶ。
 あの炎では耐性がある秋葉でも倒せるだろう。

 当たれば終わる。逃げ場は無い。

 「仕方が無い・・・!」

 神谷は拳を目の前に構えた。

 「青空に集いし空気よ、いざ我が拳に!!」

 「・・・・・・!?」

 なんだ?なにをしている・・・?
 神谷の拳を、水色の空気が包んでいく。
 ・・・・・・・・・・・・・・・まさか!??

 炎砲が神谷に迫る。
 やがて先端が神谷に当た――――――

 「・・・目指すは青空雲は無し・・・・・・・・・『蒼穹空砲』!!!」



 ドォオン!!!



 炎砲が・・・かきけされた・・・・・・。

 雷太は愕然とする。

 「ば・・・・・・馬鹿な――――――



 メキッ・・・・・・!!



 「がっ・・・・・・!」

 空砲が直撃し、雷太は壁に激突した。

 「・・・正直焦った・・・・・・。だが、残念だったな。
  魔法は無限にあるようだが実は思ったよりも限られている。
  もう、手もないだろう・・・?」

 神谷は拳を出す。

 直撃。雷太は動かない。

 「・・・『空砲・八重撫子』、『空砲・十二単』(じゅうにひとえ)!」

 合計22発。

 本来は一発でもくらえば駄目だった。
 それなのに22発。
 壁が崩れ落ち、雷太を埋めた。
 雷太は動かない。

 神谷からは見えないが、動く気配が全くしない。

 「終わったな。」

 神谷は一言静かに言った。



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