ドゴォオン・・・・・・。



 壁が大破する。

 「ぐっ・・・・・・・・・・・・。」

 雷太はひざをついた。

 「かすったな・・・。」

 言いつつも、神谷は拳を振った。

 「・・・『空砲・八重撫子』(やえなでしこ)。」

 「・・・・・・またか!」

 再び空砲が雷太に飛ぶ。
 ただし先程までとは違い・・・・・・砲撃は八発だ。

 雷太は横に飛ぶが・・・・・・・・・。

 「・・・ぐっ・・・・・・!」

 「・・・またかすったな。」

 一度に八発もの砲弾。しかもスピードもパワーも殆ど変わらない。

 「俺の空砲の砲門数は決まっていない。
  その気ならば、更に砲撃数を増やすことも可能だ。」

 雷太はひざをついたままだ。

 秋葉の時のも重なり、相当傷ついている。
 あと一発でも直撃すれば、やられるだろう。

 その様子を見て、神谷は再び包帯を巻きなおす。
 特に意味は無いが、彼にとっての暇つぶしらしい。

 「・・・・・・一つ教えてやろう・・・。
  ・・・『憑剣:フロンディア・セレスティアル』をしっているか?」

 雷太は肩で息をしながら答える。

 「・・・・・・ああ、よく知っている・・・。
  第一級魔導士のNo.2だ。」

 「そのフロンディア・セレスティアルと俺は戦った。」

 「なっ・・・!!」

 雷太は驚きが隠せない。

 あいつは懸賞金すら付いていない。
 IFPと戦う理由などないはず・・・・・・。

 「当然、俺と彼女には戦う理由が無い。
  戦ったのは俺が頼んだからだ。」

 「・・・・・・・・・頼んだ?」

 「正直、俺は魔法使いとの戦闘経験が少ない。
  故に、強力な魔導士と戦ってみたかった。
  そこで偶然あったのが彼女だ。・・・当然、御互い本気ではないがな。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「はっきり言う、強かった。
  俺の攻撃は全く当たらなかった。
  やられるとは思わないが、実際かなり押されていた。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「戦闘後に話を聞くと、彼女はお前をライバルだと言った。
  ・・・・・・はっきりと言おう、お前にその資格は無い。」

 「・・・・・・!!」

 「お前は彼女より弱い。
  何が『第一級魔導士の王』だ。
  弱い者に王の資格は無い。今やお前がNo.2だ。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 雷太はゆっくりと立ち上がった。