「・・・・・・・・・。(ちくしょう・・・、右の肋骨をやられた・・・。)」

 雷太は動かない。右腹に激痛がはしる。

 神谷は先程の空砲で燃えた包帯を巻きなおした。

 「・・・・・・そういえば、お前にあったら聞こうと思ってたことがある。」

 神谷は続ける。

 「・・・お前を頭とする第一級魔導士は、それぞれの『通称』が
  『得意魔法と関係する二文字』となっている・・・・・・・・・。
  『水君:ウォルフ・ハイドレート』、『雷嬢:シーバス・サザーランド』、
  『鉄姫:金城 姫子』、『憑剣:フロンディア・セレスティアル』、・・・その他5人・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「ただ、何故かお前にだけはそれが付いていない・・・。
  お前に付いている『通称』は、『第一級魔導士の王』のみ。
  ・・・・・・・・・お前は一体何が得意なんだ?」

 雷太は左手を神谷に向けた。

 「・・・!」

 「闇魔法『深淵の牙(ブラック・ファング(black fang))』!」

 巨大な黒い牙が雷太の手から飛び出す。

 神谷は地を蹴りなんとかかわした。
 相手は闇。空気で止まらないことぐらいは分かる。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 雷太はゆっくりと立ち上がり、言い放った。

 「全部だよ!」

 「そうか・・・・・・それも面白い。」

 神谷は拳を鳴らす。

 「炎魔法『ヤイバ』!」

 雷太の手から炎の塊が飛び出した。

 「・・・『炭素収縮』。(・・・ヤイバ?・・・・・・確かあれは・・・。)」

 神谷が言うと同時に、炎が消え・・・・・・、ない!!

 「!!」

 神谷は両腕を眼前に構えガードした。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 ヤイバが直撃し、神谷は炎に包まれる。
 無言だが、ダメージが無いはずはない。

 「空間魔法『陽気すぎな道化師(ワンダリングソウル(wondering soul))』!」

 神谷の体が、一瞬ピンク色の光に包まれた。

 「・・・・・・何をした・・・?」

 既に火が消えた神谷が問う。

 雷太は笑った。

 「撃ってみろよ・・・・・・空砲。」