雷太はまだ消えていない魔壁で防げたものの、勢いで地をすべる。
 魔壁が無かったら、見えないので完全にやられていた。

 「・・・俺の空砲は全方向に飛ばすことが出来る。
  拳を出した先にしか飛ばせないと思ったか?
  しかし、その盾はやっかいだな・・・・・・。」

 雷太は起き上がりざま、神谷に手を向ける。

 「炎魔法『火球(ファイア・ボール(fire ball))』!!」

 秋葉に放ったのよりも、巨大な火球が神谷に向かう。

 ――――――が、

 「・・・『炭素収縮』。」

 神谷が言うと同時に、火球が突然消えた。

 「・・・・・・またかよ・・・。」

 「空気成分のうち二酸化炭素のみを集め火球にぶつけた。
  二酸化炭素の中では火は燃えられまい。   ・・・今度はこっちだ・・・・・・。」

 神谷は拳を突き出した。

 「『空砲・曲越』。」

 再び見えない空砲が雷太に向かう。

 雷太は魔壁盾に力をいれ構え――――――



 メキッ・・・・・・!!



 「・・・・・・・・・え・・・?」

 見えない空砲が、雷太の右わき腹に突き刺さった。

 勢いそのまま、雷太は壁に突っ込む。

 「俺の空砲の軌道は曲げられる。
  前にしかその壁を出さなかったのが、お前の運のつきだ。」



 「強え・・・・・・。」

 兵の一人がつぶやいた。

 大佐なので当たり前のことだ。
 しかし、皆がその圧倒的な強さに驚いている。

 そこにヴィースはいない。
 戦況をしばらく見ていたが、そのうちどこかへ行ってしまった。