神谷は無言で振りかぶった。
「・・・・・・何!??」
出たのは空砲。間違いない。・・・・・・・・・ただ、
「・・・・・・水色・・・?」
空砲が目に見える。水色の移動物体が、雷太に向かって飛んでいく。
雷太は今度は余裕でかわした。
実はまだ魔壁はあるのだが、かわせる時にかわさない手はない。
「・・・・・・・・・まさか・・・。」
「察しのとおり、お前の空砲に色を着けさせてもらった。
『陽気すぎな道化師』は見えないものに色を着ける魔法だ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「ちなみに空気を分散させようったって無駄だぜ。
その色は、俺の意思で着いているからな。
・・・・・・これでようやく本気でいけるぜ!」
神谷は下を向き、ため息をついた。
「・・・・・・済まないな・・・。」
「・・・・・・・・・何?」
神谷は顔を上げた。
「まさかお前も本気を出していないとは思わなかった。」
「お前・・・・・・も!?」
雷太ははっとした。
神谷が拳を振りかぶる。
その拳から水色の空砲が飛び出した・・・・・・・・・が、
「・・・・・・!(速い!!)」
さっきまでよりもずっと速い。
雷太はとっさに右に飛んだ。
パキィイン・・・!
一瞬遅れ直撃した魔壁が・・・・・・粉々に砕けた。
「・・・なっ・・・・・・!」
「俺も本気を出していなかった。
今から、少々本気で行こう・・・・・・。」
雷太の顔に、一筋の汗が流れた。
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