「本来、敵基地に侵入した時点で悪行。
  それに、悪を見て見ぬ振りをするものは正義とは言えない。
  民の平和を守る為、正義の規約を破ってでも目の前の悪を討つ。
  それが俺の正義だ。」

 「・・・・・・し、しかし・・・・・・。」

 神谷はヴィースをにらんだ。

 「退がれ、ヴィース中佐。
  それ以上言うと、お前が組織加担のIFP規約で罰されるぞ。」

 「・・・・・・・・・う・・・。」

 ヴィースは言葉に詰まった。
 恐ろしいほどの威圧感が、彼を包む。

 「・・・・・・いいよ、ヴィース。あんがとさん。」

 ヴィースは声がしたほうを向いた。

 雷太は笑っている。

 「お前が罰されちゃ悪いし、どうあがいてもそいつは逃がしてくれそうにねえ。
  それに、俺は世界を狙う組織の一員。
  いずれは戦うことになるし、勝てなければ世界なんてお笑い種だ。」

 「そういうことだな。」

 神谷は冷静に肯定する。

 「お前ら、今すぐ全員二階より上に上がれ。
  一階にいる者は、命の保障が出来ない。
  もちろん、秋葉軍曹とヴィース中佐もだ。」

 兵達はすぐさま言われたとおりに、
 秋葉は兵に抱えられ、ヴィースも無念そうに上に引き上げる

 大広間には、雷太と神谷だけになった。