「は〜〜い。」

 やはり、女性の声だ。

 「イヤ、ソンナワケナイゼ、オレ。
  今日は多分耳が腐ってるんだ。クロの家に女性がいるなんてありえないんだ。そうだろ?そうだろ!?俺!!?

 雷太は意味もなく自分をマインドコントロールまでし始めた。あほかこいつは。

 「・・・あっ!・・・すいません、ちょっと待って下さい。・・・・・・スカートが引っかかちゃって・・・。」

 「(ガーン!!!・・・僕の耳、腐ってませんでした―――!!)
  そうかい、クロは結婚したのかい。おめでとうクロ。ちくしょうめ。」

 《雷太は錯乱しています。エサを与えないで下さい。》

 「・・・・・・・・・ま、まあとにかく、どんな女性か確かめ――――――



 ガチャリ



 玄関のドアが開いた。

 「すいません。ところで、どなた――――――

 彼女の声はそこで途切れた。

 「・・・・・・・・・・・・。」

 きれいな青髪をツインテールにし、雷太よりやや白みがある肌、
 それに青いワンピースと白いエプロンを着ている女の子である。

 彼らは初対面のはずだ。



 二人は向き合ったまま動かない。

 「・・・・・・。(・・・・・・・・・・・・。)」

 お互いを、少し驚いたような目で見つめ合っている。



 それはまるで・・・・・・時が止まったように――――――

 ――――――運命の出会いのように。



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