雷太はびびっていた。まさか女性の声がするとは思わなかったらしい。

 「・・・え?あ、いや・・・何でもないです。」

 彼は驚きの余り、ついこう言ってしまった。

 『・・・?そうですか?・・・では、さようなら。』

 「あ、さようなら。」

 雷太は礼儀正しく頭を下げた。・・・・・・辺りには誰もいない。カメラもない。

 《これが電話などの恐ろしいところだ!皆、気をつけよう。》

 通信は切られた。雷太は頭を抱える。

 「・・・・・・・・・。(なぜ女性の声がするんだ?・・・・・・しかも若い・・・。・・・もしや家を・・・。
  ・・・・・・・・・・・・いや待て、俺はこんなバカでかい家をまちがえるほどやばくないぞ・・・・・・。)」

 《お前はやばい!》

 「やかましいわ!・・・・・・。
  (しかし、家は合ってるとして・・・・・・!まてよ、クロもまだ若いよな・・・。って事はもしやクロのやつ、とうとう結・・・。)
  いや、待て俺。そんなのはバナナが世界を滅ぼすよりもありえねーぜ。」

 雷太はもっと考えた。

 「・・・・・・。(まてよ・・・。もしやさっきの声は幻聴では・・・?
  つまりクロの声聴くのあまりにも久しぶりなんで高く聞こえたとか・・・・・・。
  ・・・そうだ、きっとそうだ!・・・・・・何しろ、3年も洞窟にいたもんな、俺!)」

 《・・・・・・・・・・・・。(憐れみの目。)》

 「ってかナレーター様言ってたじゃん!?前回、“クロは独身だというどうでもいい情報は置いておいて”ってさー!!」

 知るか。

 「・・・くっ・・・・・・・・・。
  考えた結果、やっぱりクロに会って直接聞いた方が早いな。(もう1回呼び鈴鳴らすの嫌だし。)
  ・・・・・・よし、勝手に入ろう。」

 雷太は、元から開け放たれている門から中に入った。