炎魔法で威嚇し、防御魔法で攻撃をかわし跳ね返し、幻影魔法で混乱させ、雷太はようやくたどり着いた。

 「・・・・・・・・・あれか。」

 眼前に広がるは、天井まで吹き抜けのかなり大きい広間。
 その下、雷太の視線の先には、大き目の門がある。
 ただ、その前には今までより多くのIFP兵が守りを固めているが。

 「なに、お前らを無理やりどかせばいいこった。」

 出口が見えたことで、自信が湧いたらしい。
 逃げるのと攻めるのでは、モチベーションが全く違う。

 雷太は入り口に向かってダッシュした。



 ――――――が、



 「今だ!落とせえっ!!!」

 「はいっ!!」

 謎の号令が響く――――――



 ズドオオオォォォン!!!



 突然入り口に、轟音と共に巨大な鉄壁が下りてきた。

 「なっ・・・!」

 完全に入り口は塞がれる。

 「フハハハハ!!」

 恐らく二等兵と思われる者の一人が、一歩前へ進み出、雷太を指さした。
 その口調から、先程の冷静な二等兵とは違う者ということが分かる。

 「残念だったな!龍 雷太!!
  入り口は完全に塞がせてもらった。あの鉄壁は厚さ1m!
  例えお前でも破壊する事はできまい!!」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 いや、実は雷太にはできる。
 ただ、魔力をためるのに時間がかかる為こういう状況では少々難しいが。

 「そして、現在ここにはこの基地全ての兵が集まった!
  観念しろ!!もう終わりだ!!」

 見たところ鉄壁は機械操作で、どこかの部屋で操作できるらしい。
 そして二等兵の言うとおり、雷太は大勢のIFP兵にみるみる囲まれ、
 二階からそれ以上の、吹き抜けゆえの回り廊下にも、兵がひしめき合っている。
 最も、三階より上にいるもの達が飛びかかる事はないだろうが。

 「確かに、逃げられそうにはないな・・・・・・。」

 雷太は言った。
 兵が勝ったと言わんばかりに笑う。

 「じゃあ・・・・・・。
  お前ら全員ぶっ倒して出るしかねえな!」

 雷太はにやっと笑った。

 一瞬の沈黙の後、兵から次々と
 「ふざけんな!」、「出来るものか!」、「状況を見ろ!」などの罵声が飛ぶ。

 が、彼らはチンピラではない。鍛えられた兵士だ。
 上官の号にすぐさま反応し、戦闘態勢へと入った。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 雷太も、両手に魔力を集中する。

 お互いに本気。

 空気が・・・・・・・・・張り詰める。

 ――――――が、





 「・・・・・・・・・・・・どけ。」