「どういうことです?」

 健が聞く。

 「クロの家に行く前に俺の家でしておきたい事があるんですよ。
  だから皆さんをクロの家にワープで送った後、一人で先に自分の家にワープします。
  後からクロの家に行きますんで。」

 「なるほど〜、分かったよ。
  行き先が違うから、別々って事だね。」

 「そうです。」

 そういうと雷太は、木片の一つを拾い、直径1mぐらいの円を書いた。

 「皆さん、この中に入って下さい。」

 「あれ?さっきのと違うんだ?」

 D・Jが不思議そうに聞いた。

 「はい、基本的にワープは『個人かその使用者に触れているもの専用』なので。
  今回は別の移動魔法を使います。」

 「なるほど、流石第一級魔導士ですね。」

 そう言いながら、健は円の中に入った。
 他の皆も、円に入る。

 雷太は円の外に出ると、手に瞬時に魔力をこめた。

 「じゃあ、もう行きますよ。」

 「は〜い。忘れ物ないで〜す。」

 デュークが明るく返事をした。

 「移動魔法『円転(ムーヴメント・サークル(movement circle))』!!」



 シュッ・・・・・・



 4人は一瞬で消えた。当然だが、成功だ。

 「ふぅ・・・、流石にちょっと疲れたかな・・・。・・・・・・腹減った。」

 雷太は一人つぶやいた。

 魔法とは体内のエネルギーを魔力に変換してそれを更に変換するもの。
 連続使用していれば流石に疲労が出る。
 魔力が0になれば死ぬのだから、冗談ごとではない。

 それに、移動魔法は実はかなり高等な種類だ。
 一瞬にして他空間を侵し、現空間に空きを作るのだから。

 「まあいいや、まだ魔力はあるし。
  帰って、少しデュークさんの資料見とかないとな・・・。
  過去の『ジョー・ディヴィルの本:高額賞金首』なら載ってるはずだし・・・。
  ・・・・・・・・・あ、啓太君の事とジョー・ディヴィルの事聞き忘れた・・・・・・。」

 《啓太は無傷で出てきたからな・・・・・・。》

 「まあ、いいか。どうせクロの家に行けば会えるんだし。」