「・・・っつーかこのオンボロにトイレとかあるのか?」
ぶつぶつ言いながら雷太が後ろの木で出来た扉を開けると、右に『WC』と書かれた扉があるのが目に入った。
「おっ!こんなオンボロでも一応あることはある――――――
扉を開けた雷太の言葉は途中で途切れた。
穴が開いている。
分かる人には分かるだろう。ある意味爆撃だ。
激しく穴を出入りする風が、雷太の髪を書き上げた。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
雷太は無言で扉を閉めた。
《我慢は体に悪いぞ。》
「あんなところで出来るか!地上の人がかわいそすぎるだろ!!」
《いや、風でむしろ昇天するかもよ。》
「黙れ。」
雷太は諦めて元の場所に戻ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
椅子が崩れている。
「・・・・・・・・・・・・帰ったら絶対にクロに文句言ってやる。」
生きて帰れたらの話ではあるが。
「・・・・・・・・・。・・・・・・氷雨さん・・・、俺はピンチです・・・。」
雷太は床にあぐらをかき、財布から氷雨の写真を取り出した。
《盗撮は犯罪です。》
「ちげーよ!!ちゃんと了承もらって撮ったわ!!あほかお前!
ったく・・・。・・・・・・・・・・・・。」
雷太は暫く考えた。
初めて氷雨にあった日のあの感覚。彼はそれを人生で二度経験した。
一度目は幼少のころ故郷で。そして二度目は氷雨と。
果たしてあの感覚はなんなのか?
そして氷雨は雷太の事ををどう思っているのか?
それは未だに分からない。
雷太はため息を着いた。
《・・・・・・恋に悩める男か・・・。・・・キモい。》
「・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・!??」
ふいに床の揺れが激しくなった。