第17話 “おんぼろ飛行機で行こう〜なんとか飛行編〜”
がたがたがたがた・・・。
揺れている。
荷馬車ではない。
《子牛もいない。》
中にいる雷太は一人、青い顔をしてつぶやいた。
「・・・・・・なぜ・・・こんなことに・・・?」
二日前、ウォルフ達と別れた雷太はクロに言われたとおり、その日の会合に出席した。(遅刻したが。)
そこでもう一度正式に任務が各々に言い渡され、
隠密的な行動を取るよう諭さると同時に、再び雷太の任務の重要性が強調された。
(新太郎は自分でなく雷太である事に不満なようだったが、あとでクロになだめられたらしい。)
そのときもクロはこの前と同じ、この言葉を言った。
『手はずは整えてある。交通手段においては、お前が心配する事は何も無い。』
「・・・・・・そう・・・確かに言ったんだよ・・・・・・。・・・なのに・・・。」
雷太は周りを見回した。
「なんなんだよこれは!!!?」
雷太が今乗っている小型飛行機。
それは見た目も中もボロボロだ。
どう見ても木で出来ている上、大部分に釘が使われており、中にさえ機械類は見当たらず、軋む床は今にも抜けそうだ。
雷太が座っている椅子も木でできていて、当然客室乗務員などはいやしない。
今日、クロが指定した場所に行くとこれがあった。
『乗れ。』という一言とクロの名前が書かれた紙があった為乗ったところ、
勝手に発進しこのざまだ。
《・・・・・・・・・でもオート操縦は付いてるんだな・・・。》
常にがたがた揺れており、いつ空中分解してもおかしくないような気がする。
「こ、怖えぇ・・・。・・・・・・・・・!?・・・。」
雷太は席を立った。どうやら、用を足したくなったらしい。