「負けるだと!?正気かクロ?」

 アーサーが言う。

 「十中八九な。
  アルハザードは人間界の功労科学者の一人だ。
  それにああいう口八丁な男は厄介だからな。」

 「IFPとしても本当は追放したい所なのですが・・・。」

 「世界政府も味方に付けるだろうしな。
  ん、電話か・・・・・・・・・。」

 クロはバイブレーションが作動する携帯を手に取った。

 「俺だ・・・・・・ああ・・・、分かった。
  悪かったな、帰って来て良いぞ。」

 短い会話の後携帯をしまう。

 「何だって?」

 「まあ大方予想通りだ。
  御咎めや刑罰、追放等は一切無し。
  『此れからも人間界の科学発展に協力する様に』だそうだ。」

 「ふざけてんなあ・・・。」

 「IFPとしては今回の決定は恥ずべきものとしか・・・。」

 「唯組織所属者なんで懸賞金が掛けられた。」

 「ああ、そりゃそうだろうな。」

 組織所属者には漏れなくIFP及び世界政府が懸賞金を掛ける。
 基本的に如何なる者で有ろうと例外は無い。

 「で、幾らだ?」

 「・・・・・・・・・1億だ。」

 クロは携帯に転送されて来た懸賞金首手配書を見せた。