「我が修道院へ、エクセスの子供を?
火事に見舞われ身寄りがいなくなった子供をですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ。」
アーサーは柄に無く沈んだ面持ちだ。
「事情を聞きましょう。」
「事情?」
「私の孤児院はあくまでも慈善事業でやっております。
勿論私も自分の貯蓄を使わせて頂いていますが、
其処のクロさんやレディンさん方(IFP)、其の他の人々の温かい御支援により成り立っているのです。
そして我が孤児院はあくまでも小規模、
人に頼る経営の中大規模な孤児院等出来ません。」
穏やかなままのヨハネスの顔にも、厳しさが一瞬光る。
「エクセスにも孤児院は有るはずです、其れも一つでは有りません。
我が『問題児孤児院』に寄越すには其れ相応の理由があると思いますが?」
此の時代、孤児は読者が想像するよりも多いし、
其れに孤児院に行くよりまず親戚を頼ったり引取り元を探すのが普通だ。
レヴ・トーア修道院はエクセスから遠く離れている。
普通身寄りも引き取り元も無いなら故郷エクセスの孤児院に入れるのが妥当だろう。
「い、いやそれは・・・・・・。
お、親が死んだエクセス何ていたくねーだろうしよ・・・。」
アーサーは明らかに焦っている。
「・・・・・・・・・故郷は故郷、良いものです。
其れに恐れるべきは火で有り場所では有りません。
アーサーさん、御話して下さいませんか?」
「・・・・・・・・・・・・ま、当然だよな無責任だ。」
アーサーは頭を抱えた後諦めて口を開いた。