「・・・?良いんですか?」

 「ああ、あいつは・・・・・・、ここに来れるしな。」

 クロの家は何とも広くまた入り組んでいるので
 普通は氷雨に案内してもらわないと目的地まで辿り着けない。
 人を待たせているのなら尚更である。
 しかも今回はクロ達がいる部屋の名前すら言っていないのだ。

 とにかくクロの言う事。
 氷雨は素直に応じ紅茶を注いで待つ。

 数分後、扉がノックされた。

 現れたのは白い髪に白い祭服を着た男だ。
 30代後半から40代前半程の外見で、背がヴァン並に高い。

 「今日和、時間通り参りました。
  本日は宜しく御願い致します。」

 そう言い丁寧に礼をする。



 彼の名は『ヨハネス・フォン・エスエニス』。
 レヴ・トーア大陸に有る修道院の院長だ。
 尤も、この世界には神という言葉は有りしも存在はしていないので、
 実際には世界中で有名な孤児院である。
 組織間同士やIFPとの戦争、不慮の事故等で孤児になってしまった
 子供を引き取り大切に育てている。
 古くからの歴史と偉人の輩出も行われており、
 その事や彼の一言一句の重みから聖人と呼ばれている。
 彼としては自分に出来る事を唯やっているのみ、らしいが。



 《宗教とか無いのになんで祭服なんだ・・・・・・。》

 「何、唯の趣味です。」