「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  (大分潰されたな・・・・・・。)
  逃げられるとでも?」

 「勿論、私は冗談を言う事が苦手でしてね。」

 クロは何も言わずに鯉口を切った。

 状況からするとどう見てもこっちが有利だ。
 5対2の上にヴェルサスは未だ動けずにいる。

 「貴方に加え、格闘王の一人、第一級魔導士の王、次期格闘王候補、そして殺鬼。
  錚々たるメンバーですねえ・・・・・・、しかし私は逃げさせて頂きます。」

 そう言うとシヴィウスはヴェルサスを見た。

 「何時まで遊んでいるのですか?
  さあ、一緒に逃げて頂きますよ。」

 そう言い指をくるっと回すとヴェルサスはシヴィウスへと引き寄せられた。

 「馬鹿な・・・、液体金属で包んでいた刀まで・・・。
  微動だに出来ないはずなのに・・・!」

 ヴァンが驚愕の声を上げる。

 「何、驚く事は有りません。
  私はこう見えて色々な能力を持っていましてね・・・。
  今のが引斥力の能力『引斥−ジ・アース−』。
  そして此れが先程の・・・・・・。」

 再び指を回すと今度は天から巨大な透明壁が落ちてきた。

 誰にも当たらずまた何故か全く衝撃波が出なかったものの、5人と2人は遮られる。

 「天からの恵みを受ける能力『Sky Nation』。
  壁で遮らせて頂きました、貴方方は簡単に諦めてくれそうに無いのでね。
  ・・・・・・・・・・・・それでは。」

 シヴィウスは背を向けた。
 背の白いマントには全貫きし蒼き剣が描かれている。

 「駄目だ!びくともしないよ!」

 「こっちもです!何で出来てるんだこれ!?」

 ヴァンと新太郎が破ろうとするも透明な壁は傷一つ付かない。

 「炎魔法『ヤイバ』!」

 何故かヤイバでのみ小さな穴が開いたものの、瞬時に塞がってしまった。