「!」

 斬れた砂の向こうでは、クロが刀を構えている。

 「我流、波・砂波羅。」

 クロが刀を振り抜くと、砂を裂きながら三本の斬撃が走る。
 範囲が狭い為避けるのは簡単そうだが・・・・・・。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  (・・・・・・軌道が読めない・・・!)」

 不規則に動きながらも確実にヴェルサスへ向かって来ている。
 揺れ動く三本の斬撃は何処に避けるかを躊躇させる。

 「・・・・・・phantasm。」

 三本の刃は何にも当たらず通過していった。
 そう、ヴェルサスの体を擦り抜けて。

 「面白い技だな。」

 クロが言った。

 「・・・・・貴公のもな・・・。」

 どうやら全く同じ技使いというわけでもないらしい。

 実際クロは『phantasm』と似た技を知らないのだ。

 二人は再び刀を鞘に納め構えた。

 どうやら再び居合いの差し合いらしい。
 空気がまるで破裂でもしそうに張り詰めていく。

 次の瞬間、二人は地を蹴った。

 「今だ!」



 ガキィイッ!!



 「「!」」

 二人の間にヴァンが割って入っている。

 クロとヴェルサス、互いの剣閃を両腕を受け止めて。