空気を真っ二つに斬り裂いた事による修復上昇気流。
 それは上以外にまず空気が乱れた場所に向かう。
 雷を避けても見事な自動追尾式の追尾飛沫が用意されているのだ。

 「・・・・・・・・・・・・・・・!」

 迫る刃にヴェルサスは動けない。
 全くの予想外ではなかった様なのだが・・・。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  (・・・これは・・・当たる・・・・・・!)」

 「・・・・・・・・・・・・phantasm・・・。」

 大きな音を立て、クロの刀は大きく空振りした。

 「なっ・・・・・・!?」

 それはまるで刀がヴェルサスをそのまますり抜けたかの様に。

 実際ヴェルサスはその場から動いていない。

 「貰った!」

 そう言いヴェルサスは刀を振る。



 ザンッ・・・!



 次の瞬間、クロは持ち前の俊足で後退し距離を取った。

 しかし、右膝から血が噴き出す。

 「クロ!」

 雷太が叫ぶも、二人は反応しない。
 いや、出来ないと言った方が正しいのか。

 「先撃は取った、後は次を入れるのみ。
  その傷付いた足で変わらず戦が出来るのか?」

 ヴェルサスは聞きながら構えた。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 クロは答えず刀を握り直す。

 再び空気が張り詰めた。



  ←今回の一枚(おまけ)。

  ←いっこ前へ。

  ←小説選択へ。