「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 刃を相手に向けたまま両は動かない。

 互いに微動だにしないので隙が無いのだ。

 数分間そのままだったが・・・。

 「・・・・・・・・・どうした?」

 クロが微笑って言った。
 左手を肩にやり、強めに押す。

 「俺が怖いのか?」

 言われたヴェルサスは顔を顰める。

 「そんな事はない。
  戦にて挑発とは無礼千万な・・・。」

 そういうと互いまるで示し合わせた様に刀を納めた。



 ガキィン・・・!



 次の瞬間、刃と刃が激しい音を立ててぶつかる。

 高速の居合い。
 互いに考えていた事は同じらしい。

 刃が金属の音をならし、互いに力を込め振り切ろうとしているのが分かる。
 1mmと満たない刃先を水平に合わせ削り合う二人。
 相当の達人か全く同じ座標で横薙ぎをしなければ起こらない現象だ。

 やがて力勝負は互角と悟った二人は捨て斬りに刀を振って離れた。