第153話 “黒VS.白 其の一”


 交差する黒と白の刃。
 曇り空の中一瞬入った光で輝く。

 「おいおい・・・・・・、まずいですよ?」

 新太郎が小声で言った。
 ヴァンに視線を向け止める様促している。

 「いや・・・、これは駄目だね・・・。」

 ヴァンが言う、当然小声だ。

 「・・・・・・・・・え?」

 「一触即発の状態になってる・・・。
  もし大きな声を出したりあからさまな動きを見せれば
  きっとその瞬間斬り合いが始まるよ・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・雷太。」

 「・・・何です?」

 「あればで良いんだけど高速がゆっくりに見える魔法とかないかな?
  出来ればそれをかけてほしい、全員に。」

 「・・・・・・分かりました・・・。
  空間魔法『陽気すぎな道化師(ワンダリングソウル(wondering soul))』。」

 雷太達をうっすらとピンク色の淡光が包んだ。

 ワンダリングソウルは特殊な魔法で、様々な用途がある。
 これはその中の一つ、動体視力の向上だ。
 ただし掛けた時と切れた時のギャップには注意。