「格闘王の一人、ヴァン・V・Aと見受けるが、感謝する。
  黒髪の主も失礼した。
  何分、全く同じ顔の者になど会った事はないんでな。」

 「いいよいいよ、気にしないで。
  あのままだと延々とそうだっただろうし。」

 そう言うとヴァンはクロの元へ歩いた。
 雷太達もそれに続く。

 これは一種の警告だ。
 普通の者なら、これだけの面子で再び刀を抜こうとは思わないだろう。

 「いや、気にしないで良い白髪。
  俺も同じ位に動揺していたしな。」

 「しかし・・・、世の中には3人は同じ顔がいるっていうけど・・・。」

 雷太は近寄らないながらも白髪の者をまじまじと見た。

 「流石に似すぎだろう・・・、これは・・・。」

 皆も同じ意見の様だ。

 「まあこれも何かの縁だ。
  自己紹介だけでもしておくか。」

 白髪の者は小さく頷いた。

 「尤も、我は貴公だけで良いがな。」

 ヴァンを知っていた事も重なり、白髪の者はクロ以外は皆知っているらしい。

 クロ程有名な者を、同組織の雷太達を知っているのに知らないというのも珍しいと思うが・・・。

 「そうか。
  俺の名は氷上=P・クロ。
  組織『ブラックメン』の総長だ。」

 自己紹介としてはこれぐらいで十分だろう。
 名前と組織さえ分かればあとは調べてある程度の情報は出てくる。

 「我が名は『ヴェルサス・ボナヴァルト』。
  組織には一応属してはいない。
  組織に属す者と行動は共にしているがな。」