「凄い技術力の持ち主だと聞いていたけど、科学者でもあったとはね。
  ところで、何をしにここに?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 普通の会話に見えるがこれは心理戦だ。

 お互い名は有名ながらも、決して油断出来ない。
 何より場所が場所だ。

 「私はここの専属科学者でな・・・。」

 「!」

 「今日は客が来る予定だったので予定の時刻に来てみれば・・・。
  ・・・・・・この有様だ、嘆かわしい。」

 「北の機械王ともあろう者がこんな組織にね・・・。
  君程の名ならもっと上の組織に就けそうだけど?」

 「ふむ・・・。
  何も知らない・・・・・・のか?」

 「・・・?」

 そう言うとアルハザードは何かのスイッチを取り出した。

 「動くな!」

 「無駄だ、今のお前では私は止められん。」

 「・・・!」

 「5階に来るが良い、ヴァン・ヴェルト。
  氷上殿と共にお前に話をしよう。」

 そう言いスイッチを押すと、アルハザードはこの部屋から消えた。

 「・・・・・・何故・・・だ・・・・・・?」

 ヴァンは呆然とし暫くの間立ち竦んだ。

 「何故彼は・・・・・・、僕の本名を知っているんだ・・・!?」