「何にもないねえ・・・。」

 3階を調べるヴァン。
 此処も1階程ではないが死体と血液だらけだ。

 死因は斬傷の様だが、良く見るとところどころに火傷や凍傷の様な傷がある。

 「剣士・・・・・・なんだろうけど・・・。
  能力者か・・・・・・または魔法使いかもね・・・。」

 次の部屋を調べるが・・・。

 「・・・・・・・・・ん?」

 この部屋の者達は全て打撃で倒されている様だ。
 それも剣ではなく拳脚での。

 「もし同一人物だったら武闘にも精通してるって事だけど・・・。」

 ヴァンは死体の山を入念に調べる。

 この人もこういうのは平気らしい。

 人殺しどころか傍目には死体すら慣れてない印象なのだが。
 流石は格闘王の一人、経験が違うというやつだろうか?

 「・・・・・・剣撃よりは甘いね・・・。
  ・・・まるで試すような入念な打撃痕・・・・・・。
  ・・・・・・もしかして・・・・・・実戦修行のつもりだったのかな・・・?」

 だとしたら恐ろしい話だ。
 殺人鬼はまだまだ成長途中という事になる。

 「やっぱり攻撃方法は統一されているから・・・。」

 そこ、ヴァンが推理しているからって驚かない。
 彼普段はああだけど結構頭良いんですから。

 「恐らく襲撃者は最高でも2人・・・・・・!??」

 ヴァンはまだ調べていない部屋をはっと見た。

 一瞬だけ・・・・・・気配を感じた。

 「鬼が出るか蛇が出るかな・・・?」

 彼は静かに扉を開けた。